薬指の約束は社内秘で
黒い皮地のソファーに座った私をまっすぐ見下ろした葛城さんは、ふっと息をついてから反対側のソファーに腰を下ろす。

両膝の間に組んだ手を置き、優しく笑いかけられた。

「それと何があっても、俺を裏切らなさそうだし」

切れ長の瞳を柔らかく細める極上の笑みで。
社内の女子が一瞬でやられてしまうであろうそれに、いま置かれてる立場も忘れて見惚れてしまう。

すると今度は体を起こし、ソファーの背もたれに寄り掛かりながら口元を隠すように笑った。
どこかしたたかさも感じる艶のある笑み。そんな笑顔を私はよーく知っている。

なんだか、ものすごく嫌な予感。

そしてそれは次の言葉で、確信へ変わった。

「よくあるだろ。国会議員の不正を秘書が責任取るってやつ」

「は? えっ、まさか――」

不正してるの!? (えぇー! その為に呼ばれたってこと!?)
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