薬指の約束は社内秘で
これから先、どうなるんだろう?

ここに来る直前に抱いた不安とはまた違う新たな想いを胸に抱きながら、向けられた優しい笑みをそっと見つめ返した。

経営統括室で仕事をするようになって1週間が過ぎた。
私が仙道さんの代わりに呼ばれた理由は、すぐにわかった。

私がプレゼンを勝ち取った新車の販売プロジェクトは、通常であれば3課だけで推し進める。

でも今回はR社との共同出資初の新車とあって、成功すれば本格的に共同出資会社の設立に動き出すことから、失敗が許されないプロジェクトだ。

総括責任者は今回の件に尽力した葛城さんが指名され、それがしばらく彼のメイン業務になるらしい。
私が補佐に指名されたのも、ようやく納得ができた。

(不正うんぬんじゃなくて、本当によかったよ)


5日前の初会議に出席した際、重役の一人がこんなことを言った。

「それにしても、この人数は多すぎやしないかね?」

うんざり顔の重役の視線は、普段会議にはあまり参加しない現場サイドの社員へ向けられていて、『会議に決定権のない者は立ち去れ』と言わんばかりの横柄な態度に、その社員達は俯くしかない。

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