薬指の約束は社内秘で
どうして、こんな態度が取れるんだろう。みんな同じ社章をつけて働いてるのに……

思わず議事録を打つキーボードの手が止まる。
でもこれは珍しいことでなくて、販売企画や現場サイドの意見が重役の一言で覆されることも多かった。

それが正当な理由なら納得もできる。
でもそれが社内の派閥争いだったり、新しい風を受け入れたくないという、くだらない理由だったりするんだから、心底うんざりしてしまう。

この会議だってそう。

通常であれば1時間もかからない会議が長引いてるのは、そんなくだらない理由が見え隠れしているのが原因だと彼は気付いてないんだろう。

会議室が重々しい空気に包み込まれる。それを断ちきったのは、葛城さんの一言だった。

「それでは次回の会議までに、参加メンバーを再検討します」


そして会議の数日後。あの重役が経営統括室に怒鳴り込んできた。
理由は次の会議のメンバーに、その重役をはじめとする数名の役員が削られていたから。

「おいっ、なんで俺が外れて、関係ない人間が増えてるんだっ」
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