薬指の約束は社内秘で
何度も押し寄せたこの痛みも、答えを弾き出そうとすると頭が痺れ始めるのも、走り始めた自分の気持ちを認めるのが怖かった。

だって認めてしまったら、どうしようもなく欲しくなる。

私を見つめるその瞳も、時々柔らかくなる声も、髪に優しく触れる指先も。
彼の気持ちがどこにあるのかわからないのに、欲しくて堪らなくなってしまうから。

いつだったんだろう? どのタイミングだったんだろう? 分からない。

でもようやく弾き出せた答え。3年ぶりのそれに心臓が駆け足で加速を遂げる。
鳴り止まない鼓動が葛城さんに漏れ聞こえてしまいそうで、私を見下ろす瞳から逃れるように視線を外す。

一度息をついてから、彼の質問に答えた。

「経営学の著書を何冊か出されてますよね。その一冊のあとがきに、書いてあったんです」
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