薬指の約束は社内秘で
「いつもあとがきまで読むのか?」

「普段はあまり読まないですけど。たまにあとがきで少しくだけた話をする方もいるので、目を通しておいたんです」

思ったより冷静な声を出せたことにホッと息をつく。

話し終えた私に葛城さんが何かを言いかけると、それを遮るように一人の男性が歩み寄って来た。


「お話し中に大変失礼します。葛城様でしょうか?」

歩み寄ってきた男性に葛城さんが「はい」と返事をする。

彼は今日のパーティーの進行役の人で、友人スピーチをすることになっている葛城さんに、この後の段取りを説明し始めた。


このままここにいても、いいのかな?

ふと頬に手を添えると、少し頬が乾燥しているのに気づく。


そういえばホテルに着いてすぐ会場に直行しちゃったから、メイク直しもしてなかったな。

葛城さんに目で合図をしてから、その場を立ち去った。
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