薬指の約束は社内秘で
『嫌いになれないのは、綺麗な思い出として残しておきたいだけだからじゃないかな?』

胸を突く言葉が癒えたはずの傷跡をえぐる。

綺麗な思い出として残しておきたい―-
それが傍から見れば未練がましくて、理解されにくい感情だってこともわかる。

だけど、枯れるほどの涙を流したあの日、名前も聞かずに別れたことを後悔していた。

だから瑞樹と再会できて本当に嬉しかった。
とはいえ、愛美が私を心配してくれる気持ちも分かるから、彼女の提案に乗ることにした。



そんなわけで会社を出た足で愛美が探してくれた婚活バーに乗り込むこと、1時間経過。
『婚活バー』そこは素敵な出会いを求めた男女が集まるシングルスバーだという。

初めて訪れるその店は有名な外資系ホテルの並びにあった。
でも普段そんな高級ホテルに縁なんてないし、それを目印にされても分かるはずがなかった。

(店の名前が分かればスマホで検索できたけど。名前どころか愛美が用意してくれた駅からの地図まで落としちゃったからね)

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