薬指の約束は社内秘で
葛城さんが触れたところを意識する度、体が熱を持ったように熱くなってしまう。

いまの私、きっとひどい顔してる。少し気持ちを落ち着けないと変な風に思われちゃうよね。

葛城さんと会場を後にする時に注目が集まっていたことを思い出して、少し長めの深呼吸をする。

借りていたタオルとグラスは葛城さんが控室を出ていく時に持って行ってくれたけれど、さっきの女性を見つけてお礼を言ってから、会場へ足を向けた。


葛城さんに遅れること数分。
少し前とは違って静かな雰囲気の扉を開くと、ちょうどスピーチをしている彼の姿が目に入った。

一瞬、目が合ったような気がしたのは、きっと気のせいじゃない。

でも彼はすぐに新郎新婦に視線を戻して、今度は言葉を止めることなくスピーチを続けた。

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