薬指の約束は社内秘で
「もしかして。さっきみたいなキス、されると思った? するわけないよ、俺だって相手を選ぶから」

「そんなこと思ってないです」


やめておけばいいのに――……

つい挑発に乗るように言い返してしまうと、「はい、これ」となぜか銀色のコインを差し出された。

どこかの外国のコインみたいだけど。なに、コレ?

昔から『不思議ちゃん系』なところがあったけど、彼の意図がさっぱり分からない。
無視して秘書室を後にしようとしたら、柔らかく笑いかけられた。


「表裏、どっち?」

「え?」

「いいから、どっち?」

少し強めに迫られて「表」と思わず返してしたら、「じゃぁ、俺は裏ね」と弾んだ声を漏らした瑞樹は、ピンッと指でコインを跳ね上げた。

背の高い瑞樹よりも高く跳ね上がったコイン。
それをぼんやり見つめていると、とんでもない言葉が瑞樹から飛び出た。
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