薬指の約束は社内秘で
「表裏、どっち?」

「え?」

「いいから、どっち?」

少し強めに迫られて「表」と思わず返してしたら、「じゃぁ、俺は裏ね」と弾んだ声を漏らした瑞樹は、ピンッと指でコインを跳ね上げた。

背の高い瑞樹よりも高く跳ね上がったコイン。
それをぼんやり見つめていると、とんでもない言葉が瑞樹から飛び出た。


「お見合いの返事、コインで決めようと思って」

えらく爽やかな笑顔でさらっと言われ唖然となる。

「えっ、そんな。ダメですよ!」

「いいよ」

「ダメだよ!」

思わず立場も敬語も忘れて強く言い放つと、少しの間を置いて静かな声が瑞樹から漏れた。

「いいんだって。あの時だって――そうやって決めたんだから」

それまでとは違う冷ややかな声に息を呑むと、3年前のある光景が頭を過った。
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