薬指の約束は社内秘で
あれは、今日みたいに厚い雲に覆われて少し肌寒い日だった。
いつものように瑞樹の部屋でDVDを見て、一緒に作った夜ご飯を食べて、長い時間をかけて抱き合った後、瑞樹は自分の財布から1枚のコインを取り出した。
そして私に聞いたんだ。いまみたいに、「表裏、どっち?」って。
何かの手品かなと思い「表」と答えると、背中越しでコインを跳ね上げる音がして、
一瞬の間を置いから、毛布にくるまった私を背中から抱きしめた瑞樹は、そっと囁いた。
「ハズレちゃったね」