薬指の約束は社内秘で
高く跳ね上がったコインが重力に従い瑞樹の元へ戻る。

あの日と同じ光景に指先が微かに震え出す。止められない感情が高まっていく。

この震えは、どこから?

そう心に問いかけると、瑞樹との別れ話をした時の女友達の言葉が頭を過った。

「なに、それ。ゲームみたい。ふざけてるね」

酔いつぶれた私を庇うように吐き捨てられた言葉。誰かに話したら楽になるって思った。

でも、話せば話すほど――……

「最低だね、そいつ。別れて正解だよ」

否定されればされるほど、胸が何かに鷲掴みされたように苦しくなって。
彼との楽しかった思い出を語り始めた私に、友達は呆れ顔になった。

それはすごくまともな反応で。私だって、きっとそう。

誰かにそんな話をされたら、きっと呆れてしまうだろう。
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