薬指の約束は社内秘で
自分でも呆れるほどに、そんな仕打ちをされても彼を信じてしまうほど、瑞樹のことが好きだった。

会社説明会の帰りに話しかけられて、何度か会うようになった帰り道のこと。
人混みの雑音に紛れた静かな告白に小さく頷いたら、人目もはばからず抱きしめられた。

「あぁー。生きててよかった」

耳たぶを掠めた声がくすぐったくて、「大袈裟だよ」って瑞樹の胸を押して離れようとしたら、もっと強い力で抱きしめられた。

「ありがと。俺、すげぇー、いま幸せ」

少しだけ照れくさいけど。
瑞樹のストレートな愛情表現は、いつだって幸せの熱で私の体を包み込んでくれた。



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