薬指の約束は社内秘で
面接でしくじって落ち込んだ時は、

「内定? 大丈夫でしょ、愛が落ちるわけない。もし万が一落ちたとしたら、面接官に見る目がないんだよ」

落ち込む私の頭を優しく撫でながら、口角をめいいっぱい引き上げた笑顔をくれた。
その曇りのない瞳に、私はどれだけ救われたんだろう。


瑞樹を好きになる前の私は、いつも物事をマイナスから考える人間だった。
だって、その方が楽だから。

努力しても結果が報われないのなら、最初から期待しない方がいい。

でもそんな中途半端な気持ちで努力したところで、結果なんて出るわけがなかった。
そんなのは、ただの言い訳に過ぎない。精一杯の努力をすることから逃げていただけ。


「大丈夫だよ。俺は、見る目あるからね」

その屈託のない笑顔を曇らせたくなくて、いつもより少しだけ努力してみる。
そんな自分を少しだけ好きになれた気がしたんだ。
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