薬指の約束は社内秘で
「いいんだって。あの時だって――……そうやって決めたんだから」


冷やかな瞳で言い切られた言葉が何度も頭を巡らせて、瑞樹と過ごした想い出がどんどんその色を褪せていく。

さよならを告げた瑞樹が見せた柔らかい笑み。

どこか影を帯びているように一瞬見えただけで、あれもゲーム楽しんだ嘲笑に過ぎなかったの?



震え始めた胸を落ち着かせようと瞳を閉じる。

――もう終わったことだよ。

ざわつく心に強く言い聞かせて瞳を開くと、右の掌をゆっくり開いた瑞樹の姿が視界に映る。

張りつけたような薄い笑みにスッと心が冷えていくと、二人だけの室内に静かな声が響いた。


「表だね。当たりだから、愛が決めていいよ?」

「なに、言ってるの?」

絞り出すような声は自分でも驚くほど掠れて、目の奥が歪んでいくのを感じるのに。
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