薬指の約束は社内秘で
あの日、館山さんは課長の肩の上で爆睡してしまったし。
葛城さんが話されて困るような恥ずかしエピソードは、結局教えてもらえなかったんだけど。


葛城さんは、きっとされたであろう『ぶっちゃけ話』が気になって仕方がなかったようで、今週は葛城さんからの痛いほどの視線を背中に浴びながら仕事をする羽目になった。

(羽目っていうのは、そこに甘ったるいものは1ミリも含まれてないから)


そんなに気になるなら、何を聞いたかサクッと聞いてくればいいのに……

それすらも躊躇われるのか、「藤川」と意味もなくデスクに呼ばれては、「なんでもない」と手を払われる毎日。

意味のない前後運動にも疲れてきた週末金曜日の今日。


「だから、一体、どんな弱みを、握られてるんですか!?」

と、そろそろこちらから問い詰めてやろうかと思ったら、

ようやく決意が固まった葛城さんに誘われ、彼のマンションで私が作った夕飯を二人で食べ終えたところだった。

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