薬指の約束は社内秘で
あの会話の後だったから、葛城さんの不機嫌な顔は変わらずだったけれど、

「ごちそうさま。おいしかった」と、今日も言ってくれた。

葛城さんのさりげない一言って、ちょっと……
いや、すごく嬉しかったりする。


仕事でも頼まれ事を済ませると、「ありがとう」の後に嬉しい一言を添えてくれるから。

それは「早くて助かった」とか「資料分かりやすかった」だとか。
彼らしく短くまとめた感謝の気持ちなんだろうけど。

そういった気遣いを嬉しく思うのは私だけではないだろうし。

気持ちよく働きやすい環境は仕事の効率を上げることにも繋がるから、そういった意味でも葛城さんは仕事が出来る上司なんだなぁと思う。


でも、そろそろ機嫌を直してくれないかなぁ。

フテ腐れモード全開でソファーに体を預ける葛城さんに近づいて、「食後の飲み物、葛城さんはお茶ですよね?」と声をかけると、目線だけチラリとこちらに動いた。

その意味は「YES」ってことだよね?

(まったく。いつまでも子供じゃないんだから……)

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