薬指の約束は社内秘で
「なんだよ?」

「いえ。大したことじゃ、ないです」

「藤川の大したことないは、大ごとになりそうだな」

「えぇっ! それは困りますよ。いや、でもきっと、大丈夫ですよ……多分」

「キョドリすぎだろ。まぁ、俺には関係ないから、どうでもいいけど」

緑茶を飲んで回復したのか。
いつもの意地悪な返しをしてきた葛城さんに、まさか言えるわけがない。

出会ったばかりの頃、葛城さんにかけた呪い。
『茶飲み友達はいる程度の寂しい老後をおくっていいよ』を解除し忘れてたなんて。

(あのときは葛城さんと親しくなるなんて思わなかったもんなぁ)


あぁ、神様! どうか、葛城さんに素敵な老後をお願いします!!

今年は困ったときの神頼みだけではなくちゃんとお参りに行こうと心に誓い、飲み終えた二人分の湯呑みをキッチンへ運ぼうとすると、「俺が洗う」とお盆を奪われる。
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