薬指の約束は社内秘で
髪に、頬に、唇に――……

愛しさが伝わるような優しいキスを落とされると、言葉になんかしなくても想いはすべて通じているのだと思えて、あたたかい腕に包み込まれながら意識が遠のいていった。


二人で寝るには充分なサイズのダブルベッドで迎えた朝。
梅雨の合間の貴重な晴れ日を思わせる紫外線の強そうな光に薄目を開くと、至近距離にある瞳が意地悪に細まる。

「そろそろ離してくれないと困るんだけど?」

朝一番の訴えに、「え?」と首を傾げたら肌触りのいい掛け毛布の下で絡み合った指先をギュッと握り返され、慌てて指を解いた。

「ごめんなさい!」

私ったら、葛城さんの手を握りながら寝ちゃってたの――!?

寝起きの私とは違う涼しげな瞳に、葛城さんが私よりもずっと早くに目を覚ましていたことがわかる。

「そうですよね、困りますよね。喉も乾くし、トッイレとか……」

朝っぱらからトイレとか言っちゃって、お色気ゼロな自分が恥ずかしい。
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