薬指の約束は社内秘で
そう思っていたのに、彼はベッドから立ち上がり隣接するリビングルームに向かってしまった。
そんな彼の態度を冷たいとは思わない。
怒ってるよね。そりゃそうだよ。助けてやった相手に痴漢呼ばわりされたら、誰だって気分悪いに決まってる。
とにかくひたすら謝ろう。
はだけたバスローブの腰紐をキュッと結び直したところで葛城さんが戻って来た。
バスローブ姿の彼の両手には、二つのグラス。そのひとつが私に差し出される。
「値段の割にいまいちだな、この部屋」
眉を寄せ吐き捨てた彼に、「一体、どんなご不満が?」と聞きたくなるけれど、黙ってグラスを受け取った。
繊細な刻み模様が施されているグラスの透き通った水面が揺れる。
お水かな?
問いかけるように見上げると、彼は私と少し距離を置くようにベッドに腰掛けた。
「乾燥してたな」
乾燥って――。あぁ、そっか。さっきの咳払いで勘違いした?
不意打ちの優しい気遣いに、トクンッと胸が反応する。
二人しかいないベッドルームに沈黙が流れ、グラスの液体を飲み干した彼が長い脚を私の方へ組み返した。
そんな彼の態度を冷たいとは思わない。
怒ってるよね。そりゃそうだよ。助けてやった相手に痴漢呼ばわりされたら、誰だって気分悪いに決まってる。
とにかくひたすら謝ろう。
はだけたバスローブの腰紐をキュッと結び直したところで葛城さんが戻って来た。
バスローブ姿の彼の両手には、二つのグラス。そのひとつが私に差し出される。
「値段の割にいまいちだな、この部屋」
眉を寄せ吐き捨てた彼に、「一体、どんなご不満が?」と聞きたくなるけれど、黙ってグラスを受け取った。
繊細な刻み模様が施されているグラスの透き通った水面が揺れる。
お水かな?
問いかけるように見上げると、彼は私と少し距離を置くようにベッドに腰掛けた。
「乾燥してたな」
乾燥って――。あぁ、そっか。さっきの咳払いで勘違いした?
不意打ちの優しい気遣いに、トクンッと胸が反応する。
二人しかいないベッドルームに沈黙が流れ、グラスの液体を飲み干した彼が長い脚を私の方へ組み返した。