薬指の約束は社内秘で
あの後、簡単な朝食を葛城さんの家で済ませて、歩いて5分ほどの場所にある大型ショッピングモールに二人で来ていた。
(葛城さんの言う罰ゲーム『たっぷりサービスしてもらう』は、お色気系ではなく朝食のことだったようで、藤川家特製ふわふわオムレツを作ったらあっさり許されてよかったよ)
都内最大級の広さを誇るショッピングモールをぶらぶらしてから、朝食が少し遅めだったということもあり、お昼を過ぎた時間を狙ってランチを取る。
お店を出てしばらく歩くと、全国で数店舗しかない北欧雑貨店が目に留まった。
足を止めたところで、「悪い」と断りを入れた葛城さんが小刻みにバイブする自分のスマホをタップしたから、「あそこで待ってますね」と目で合図して、
そういえば葛城さん、今日の夜は接待なんだよね。
出張から帰ってきたばかりなのに、忙しいんだなぁ……
足早に立ち去った葛城さんの背中にそんなことを思う。
グリーンやオレンジの落ち着いた色合いの中にも可愛らしさがある雑貨や食器が並ぶ店内で、
あっ、これ。かわいい。
小さな四葉のクローバーがワンポイントの白い陶器製のマグカップを手に取り眺めていると、お店の名札を付けた女性店員が笑顔で近づいてきた。