薬指の約束は社内秘で
「そちらのクローバーシリーズのカップは、温かい飲み物を入れるとカップの底に文字が浮かぶ特殊加工がされてるんですよ」

「へぇー。面白いですね」

「別料金にはなるんですが、お好きな文字を入れられるんですよ」

「人気の文字とかあるんですか?」

「そうですね。ご夫婦やカップルの方は、お互いの名前を入れて贈り合ったり、愛の言葉だったりしますね」

「へぇぇー。素敵ですね」

「こちらに詳しく書いてますので、ぜひご検討下さい」

「ありがとうございます」

差し出されたB5サイズのチラシを受け取ると店員さんは笑顔で去って行った。


シンプルなデザインに特殊加工も心惹かれるなぁ。どうしよう……

うーんと唸り声をあげたところで、「藤川」と背中に声がかかる。
電話を終えて戻って来た葛城さんの顔を見て、「あっ」と思わず声が出た。

「なに?」

「えっと――……」

夫婦やカップルで贈り合ったりとか言ってたから、どうかなって思ったけど。
葛城さんって、こういうの嫌だったりするかな?

いやいや、それより。カップルって! 
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