薬指の約束は社内秘で
「僕と妻の間に子供がいなかったこともあって、葛城君――いや。優生は、僕達に懐いてくれてね。いまはちょっと不愛想だけど、昔はよく笑うかわいい子だったんだよ」
松田課長の話は、そんな遠い日を懐かしむような口調で始まった。
「社長が会長のひとり娘の婿養子っていうのは、社内で知られてる話だけど。実は会長にはもうひとり長男がいてね、それが優生の父親なんだ」
葛城さんの父親と親しかったという松田課長の話によると、
会長が自分の後継者に考えていた葛城さんの父親は会長の経営方針に反発して会社を辞め、勘当のような形で瀬戸の家も出て行ってしまったという。
でも彼が5歳の頃に事故で父親が他界してしまい、新聞記者の仕事に復帰し家を何日も留守にすることが多かった母親の代わりに、葛城さんの面倒を見ていたのが松田夫妻だった。
松田課長の話は、そんな遠い日を懐かしむような口調で始まった。
「社長が会長のひとり娘の婿養子っていうのは、社内で知られてる話だけど。実は会長にはもうひとり長男がいてね、それが優生の父親なんだ」
葛城さんの父親と親しかったという松田課長の話によると、
会長が自分の後継者に考えていた葛城さんの父親は会長の経営方針に反発して会社を辞め、勘当のような形で瀬戸の家も出て行ってしまったという。
でも彼が5歳の頃に事故で父親が他界してしまい、新聞記者の仕事に復帰し家を何日も留守にすることが多かった母親の代わりに、葛城さんの面倒を見ていたのが松田夫妻だった。