薬指の約束は社内秘で


レジで会計とカップに入れる文字入れの注文を済ませてお店を後にする。
ショッピングモールをどこに行くでもなく歩いていると、葛城さんがポツリと言った。

「さっきの。藤川は入れる文字、何にした?」

「葛城さんから教えてくださいよ」

「トン」

「えぇ! 本気で、本当にっ、入れちゃったんですか!?」


少し小さめの女性用マグカップには、葛城さんから私へ『豚』の文字。
同じデザインの男性用マグカップには、私から葛城さんへ贈る言葉をそれぞれ注文したわけだけど。

いくらなんでも冗談かと思いましたよ! (初めて頂ける愛の形が『豚』の文字って)


「あのっ、いまならまだ間に合いますよ。定番な名前にでも変えませんか?」

「もう遅い。店の都合を考えろ。二度手間になるだろ」

隣にある意地悪な笑みに提案してみたけど、あっさり却下されてしまう。

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