薬指の約束は社内秘で
「あのっ、私。これから急ぎで会社に戻らなきゃいけなくて、それであの、この花瓶を……私の知り合いの病室まで届けてほしいんですっ」
勢いに任せるよう早口で言った彼女に拍子抜けしてしまう。
なにかものすごいことを言われる気がして身構えちゃったけど、なんだ。
この後愛美に行こうとは思うけど、今更急ぐことでもないし。
「いいですよ」と答えると、山下さんはすごくホッとした顔で、「ありがとうございます」と勢いよく頭を下げた。
「あっ。あのっ、本当に――…」
たったそれっぽちのことを引き受けただけなのに、そんなに丁寧に頭を下げられるとなんだか申し訳ない気持ちなる。
それでも山下さんは、何度もごめんなさいとありがとうございますを繰り返してから給湯室を後にした。
走り去る彼女の背中を見送ってから美希ちゃんの病室に戻ると、お土産のプリンを平らげた彼女はすやすやと寝息を立てていたから、
簡単なメモを残して山下さんに託された花瓶を取りに給湯室に戻る。
あっ。これ、結構腕にくるかも……
私が美希ちゃんに買ってきた花束よりずっと豪華な花瓶は、両手に持つとずっしりと重さが腕にくるもので、彼女の知り合いはどんな人なんだろうと思う。
勢いに任せるよう早口で言った彼女に拍子抜けしてしまう。
なにかものすごいことを言われる気がして身構えちゃったけど、なんだ。
この後愛美に行こうとは思うけど、今更急ぐことでもないし。
「いいですよ」と答えると、山下さんはすごくホッとした顔で、「ありがとうございます」と勢いよく頭を下げた。
「あっ。あのっ、本当に――…」
たったそれっぽちのことを引き受けただけなのに、そんなに丁寧に頭を下げられるとなんだか申し訳ない気持ちなる。
それでも山下さんは、何度もごめんなさいとありがとうございますを繰り返してから給湯室を後にした。
走り去る彼女の背中を見送ってから美希ちゃんの病室に戻ると、お土産のプリンを平らげた彼女はすやすやと寝息を立てていたから、
簡単なメモを残して山下さんに託された花瓶を取りに給湯室に戻る。
あっ。これ、結構腕にくるかも……
私が美希ちゃんに買ってきた花束よりずっと豪華な花瓶は、両手に持つとずっしりと重さが腕にくるもので、彼女の知り合いはどんな人なんだろうと思う。