薬指の約束は社内秘で
その間も瑞樹は少し口を開けたまま呆然としていて、そんな彼の様子にまったく悪いことをしてないのに、そんなことをしたような気になってしまうから、
「あのっ、じゃぁ。私――」
瑞樹の胸に花瓶を押し付けて、この場から立ち去ろうとする。
けれど、ぐいっと肩を抱かれて病室に連れ込まれてしまった。
抵抗を試みるけれど男の腕力に敵うはずもない。
高い所にある瑞樹の顔を睨みつけると、肩に置かれた手にグッと力が入る。
ひそめた声が耳に届いた。
「ごめん。5分でいいから、付き合って」
「えっ」
「頼む」
一瞬、秘書室でされたようなことをって思った。
でもそれが違うと分かる真剣な眼差しに、どうしようと一瞬迷う。
瑞樹はそれをYESと受け取ったようで私から花瓶を受け取り、すぐそばのテーブルに置くと、リクライニングベッドの背もたれに体を預けた白髪の男性へ視線を流した。
「会長。藤川 愛さんです」
静かな声を漏らした瑞樹がスッと自分の体を避けると背の高い彼に隠れて見えなかった会長が視界に入る。
至近距離で初めて見る切れ長の目元が、どことなく葛城さんに似ているような気がした。
「あのっ、じゃぁ。私――」
瑞樹の胸に花瓶を押し付けて、この場から立ち去ろうとする。
けれど、ぐいっと肩を抱かれて病室に連れ込まれてしまった。
抵抗を試みるけれど男の腕力に敵うはずもない。
高い所にある瑞樹の顔を睨みつけると、肩に置かれた手にグッと力が入る。
ひそめた声が耳に届いた。
「ごめん。5分でいいから、付き合って」
「えっ」
「頼む」
一瞬、秘書室でされたようなことをって思った。
でもそれが違うと分かる真剣な眼差しに、どうしようと一瞬迷う。
瑞樹はそれをYESと受け取ったようで私から花瓶を受け取り、すぐそばのテーブルに置くと、リクライニングベッドの背もたれに体を預けた白髪の男性へ視線を流した。
「会長。藤川 愛さんです」
静かな声を漏らした瑞樹がスッと自分の体を避けると背の高い彼に隠れて見えなかった会長が視界に入る。
至近距離で初めて見る切れ長の目元が、どことなく葛城さんに似ているような気がした。