薬指の約束は社内秘で
「君は、確か――販売部の社員だったね?」
「はい」
会長が私のような末端社員の存在を知っていたことに驚く。
でも、それ以上に驚かされる言葉が背後から届いた。
「彼女は、僕が初めて本気で好きになった人です」
どうして、そんなこと――……
思わず出かかった声は、そこにある真剣な顔に気圧されて喉の奥へ消えていく。
トクンッと心臓が脈打つのと同時に、意思の強さをたたえた瞳で彼は続けた。
「ですから、今回の見合いは断らせてください」
そう言って腰を折った瑞樹を会長は射抜くような鋭い眼光で見つめる。
固唾を呑んで状況を見守っていたのは、ほんの数秒。
「顔をあげなさい、瑞樹」
張り詰めた空気に静かな声が響くと、瑞樹はゆっくり顔を上げる。
鋭さを解いた柔らかい瞳が彼を見つめた。
「お前のそんな顔、初めて見たな」
「はい」
会長が私のような末端社員の存在を知っていたことに驚く。
でも、それ以上に驚かされる言葉が背後から届いた。
「彼女は、僕が初めて本気で好きになった人です」
どうして、そんなこと――……
思わず出かかった声は、そこにある真剣な顔に気圧されて喉の奥へ消えていく。
トクンッと心臓が脈打つのと同時に、意思の強さをたたえた瞳で彼は続けた。
「ですから、今回の見合いは断らせてください」
そう言って腰を折った瑞樹を会長は射抜くような鋭い眼光で見つめる。
固唾を呑んで状況を見守っていたのは、ほんの数秒。
「顔をあげなさい、瑞樹」
張り詰めた空気に静かな声が響くと、瑞樹はゆっくり顔を上げる。
鋭さを解いた柔らかい瞳が彼を見つめた。
「お前のそんな顔、初めて見たな」