薬指の約束は社内秘で
3年前。それはきっと――……

「これ以上一緒にはいられない」

曖昧な言葉で終止符を打たれたあの時のこと。
ずっと聞きたくて、でも聞けなかった言葉。

その真意を語ろうとする瑞樹に、トクンッと心臓が小さな音を立てる。
「うん」と頷くと、瑞樹は淡々と語り出した。


「あの頃の俺は、自分の夢を嬉しそうに語る愛が眩しくて、気が付いたら自分も夢を語ってた。でも、俺には叶うはずもない夢だよ。

大学は工業系を選ばせてもらったけど、俺のその先の人生に選択肢はないと思ってたから。

だって、夢を叶えるためにすべてを捨てた伯父さんみたいな強さも、俺しかいないのにって、泣きわめく母さんの期待を裏切る道を選べないことも、自分で分かってたから」

そこで言葉を止めた瑞樹が何か躊躇うように視線を外した。
色濃い夕日が膝に落ちた彼の瞳に影を落とす。

迷いを断ち切るように長く息を吐いた瑞樹は、まっすぐ私を見つめた。


< 265 / 432 >

この作品をシェア

pagetop