薬指の約束は社内秘で
「藤川が気になってるのは、俺が関係ないって言ったことじゃ、ないだろうな?」

すべての感情を押し殺すような抑揚のない声。
ドクンドクンと鼓動を煩く響かせて小さく頷くことしか出来ない。
沈黙がしばし流れる。彼は回転式の椅子をクルリと動かし私に背を向けた。

「関係ないと言ったはずだ。そんなことが気になって仕事に支障をきたすなら、もう帰れ……」

冷たく突き放す言葉に目の奥が熱くなる。

葛城さんの命令は絶対だ。
でも、唇が、足が、腕が、私を遠ざけようとする彼の言葉に動かない。

結局、葛城さんに呼ばれた仙道さんが私の肩を抱いて歩くまで、その場から立ち去ることができなかった。
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