薬指の約束は社内秘で
それから1時間ほど美希ちゃんとお酒を交わして彼女と店の前で別れる。
電車を乗り継ぎ愛美のマンションを訪ねて、何度か鳴らしたチャイムの数秒後。
諦めたようにドアが開き、少しやつれた顔の愛美が部屋に招き入れてくれた。
几帳面な性格の彼女らしくない乱雑した部屋の様子に少し驚く。
これも私が気づいたあのことと関係があるのかもしれない。
やっぱりもっと早く会いに来るべきだった……
紅茶に淹れてくれた愛美がテーブルの向こう側に座るのを待って私が見たことを告げると、彼女の瞳に影が差した。
「そう。あのとき、見てたんだ……」
ポツリと零した唇が震え出すのが分かる。
愛美は青ざめた顔を隠すように視線を落としながら続けた。
「私達のこと…愛には話すなって、言われてるの」
「わかってる。でも、私に何か出来ることがあるなら話してほしいの」