薬指の約束は社内秘で
葛城さんに聞きたいことはたくさんあった。でも場所を選ばないと話せない内容ばかりで――
いや、それは違う。
誰の邪魔も入らないいまだって聞きたいことが多すぎて、何から口にすればいいのか分からなかった。
「葛城さん。まだ残業ですよね? 私が淹れますよ」
まずは気持ちを落ち着けようと思い、彼が使っているブルーのマグカップを戸棚から取り出す。
でも思いがけず指先に力が入らなくて、ガシャンッと鋭い音を立てたマグカップは床の上で割れてしまった。
「ごめんなさいっ」
慌てて床にしゃがみ込もうとすると、「俺がやるから」と静かな声が背中にかかる。
いたわるような柔らかい手つきがそっと肩に落ちると、不意に彼と過ごした時間が頭を過った。
『この週末は、久々に楽しかった』
初めて一緒に朝を迎えたあの日。
見つめ合って笑いあえる、その時間が何よりも愛しくて、彼がくれる何気ない一言がたまらなく嬉しくて。
トクンと心臓が幸せの音を響かせたことを思い出す。
いや、それは違う。
誰の邪魔も入らないいまだって聞きたいことが多すぎて、何から口にすればいいのか分からなかった。
「葛城さん。まだ残業ですよね? 私が淹れますよ」
まずは気持ちを落ち着けようと思い、彼が使っているブルーのマグカップを戸棚から取り出す。
でも思いがけず指先に力が入らなくて、ガシャンッと鋭い音を立てたマグカップは床の上で割れてしまった。
「ごめんなさいっ」
慌てて床にしゃがみ込もうとすると、「俺がやるから」と静かな声が背中にかかる。
いたわるような柔らかい手つきがそっと肩に落ちると、不意に彼と過ごした時間が頭を過った。
『この週末は、久々に楽しかった』
初めて一緒に朝を迎えたあの日。
見つめ合って笑いあえる、その時間が何よりも愛しくて、彼がくれる何気ない一言がたまらなく嬉しくて。
トクンと心臓が幸せの音を響かせたことを思い出す。