薬指の約束は社内秘で
想いを馳せながらまぶたを閉じていたのはほんの数秒。

走馬灯のように駆け巡る幸せの風景に終わりを告げてまぶたを開く。
『言葉にしてはならない』というように心臓がドクンと強く脈を打つけれど、強い意志を持って声にした。

「愛美から、全部聞きました」

強い想いとは裏腹な弱々しい声を床にしゃがみ込む彼の頭に落とすと、破片に伸びかけた長い指先がその動きを止める。


「私には、関係ないなんて――嘘…じゃないですか」

途切れ途切れの言葉に、膝に手をつきながらゆっくり立ち上がった彼が私を振り返った。

切なげに歪んだ顏に胸が押し潰されそうになる。
だけど、胸を襲う痛みを堪えるように一度唇を噛み締めてから声にした。

「彼女言ってました。まだ葛城さんのことが好きだって」

「アイツが?」

私の言葉に彼が息をのむ。
戸惑いと苦痛が入り混じる険しい顔が私を見下ろした。

いつも冷静な葛城さんがそれほど動揺するなんて……

愛美の存在の大きさを目の当たりにして、酷く傷ついている自分に気づく。

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