薬指の約束は社内秘で
欲しいと願っていた言葉だった……

でもそれは、優しい彼がつく嘘。
同情に過ぎないと、言葉よりも饒舌にいま目の前にある切なげな瞳が言葉の裏にある彼の本音を教えてくれる。


葛城さんなら、きっとそう言うだろうと思った。

自分の想いを押し殺す強さを持つ彼なら、私を傷つけないために自分の気持ちを偽ってでも、そう言ってくれるって思ってた。


でも、本当は少しだけ期待してた。
優しく抱き合ったあの時みたいに、『好きだ』と優しい眼差しで抱きしめてくれることを――

彼がそうしてくれたら、愛美にどんなに恨まれても、彼のそばを離れないって決めていた。

でもそれは叶わなかったから……

だから私は、自分でできることを、頭で何度も練習してきた言葉を伝えなきゃならない。
大好きな二人を苦しめてるのは、私なんだから――
< 293 / 432 >

この作品をシェア

pagetop