薬指の約束は社内秘で
「どうしてっ!? どうして、傷つくのはいつも私なの!? どうしてっ……誰もっ、私の想いに気付いてくれないのよ!?」

声を張った愛美は顔を両手で覆い隠し、頭を激しく横に振る。


愛美は私の為に好きな人を諦めてくれた。

それがどれほど苦しいことかは、葛城さんへの想いを断ち切ろうとしたいまなら分かる。

いつも幸せそうに笑っていた愛美。
そんな彼女の左手薬指には、私が憧れても手が届かない『幸福の証』があった。

婚約者の裏切りが分かっても外せなかったであろう『それ』が彼女の手からいつなくなったのか、思い出せないくらい私は、彼女の変化に気付いてあげられなかったんだ。
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