薬指の約束は社内秘で
悲痛な訴えに、悔しさと怒りにも似た感情が胸に込み上げてくる。

ふたりだけのリビングルームに短い静寂が流れていく。
愛美はテーブルに両肘をつき顔を覆った状態で、ぽつぽつと語り始めた。


「昔からずっとそうだった。私が大事に想う人は……いつも私を一番に考えてくれない。私の気持ちを分かってくれない。親だって、彼だってそうよ。

だから、愛には分かってほしかった。私が言わなくても気づいてほしかった……でも、愛だって私の想いなんか全然気づいてくれない。

それはそうよね。だって、愛には私以外にも友達がたくさんいるから。
でも、私はそうじゃないっ。私には愛しかいないのに。私にはっ、彼しかいないのに――……。

だから、大事な人の一番になれないなら、みんな……私みたいに傷ついちゃえばいいって思った。だから――……」

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