薬指の約束は社内秘で
そこで言葉を止めた愛美がスッと視線を上げる。
冷えきった瞳が私を見つめた。


「愛が婚活バーで知り合った男に襲われそうになったのは、その男を差し向けたのは……私だよ」


呆然とした瞳を彼女に向ける。

「いま……なんて?」


耳を疑う言葉に背筋にスッと冷たいものが過ぎる。
それ以上言葉が続けられない私に、愛美は薄っぺらい笑みを浮かべた。


凍てつくようなそれに、私達の関係がいままさに崩れていくようで……。

違う。きっと私が知らなかっただけで、もうずいぶん前から壊れかけていた。
腹立たしいよりも、ただ、悲しかった。

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