薬指の約束は社内秘で
「愛の彼氏は、愛をホテルへ連れ込もうとした男を止めようとした。男から話を聞いた彼は、私のところへわざわざやって来たんだから驚いたわ。

だから、『愛には会わない』って私から言って、その場は帰ってもらったのよ」


宙を睨みつけながら、淡々と語る愛美を信じられない想いで見つめる。

いま目の前にいる彼女は、本当に私が知っている愛美なの?

いつしか零れ落ちていた涙は頬を濡らし続けるけれど、それを拭う気力は残されていなかった。


葛城さんのことをどうせ通りすがりのお節介な人間なんだろうと思った愛美は、それからも普段と変わらない態度で私と会っていたという。

再会を望まなかった二人を私が会わせてしまった。

彼は愛美が約束を破り私と会っていることを知ると、彼女に事情を聞きに来たという。

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