薬指の約束は社内秘で
痺れ出すこめかみを手で押さえつけると、鼓膜の奥から彼の声が響いてくる――


『藤川には……関係ない』


走り去る愛美の背中を見つめていたときの言葉は。


『アイツが俺を好きとかあり得ない。俺が言えるのはそれだけだ」



愛美のとの関係を問い詰めた私に返したあの言葉は――。


親友に裏切られた私を必死に守ろうとした優しい嘘だった。

大好きな人にあんな言葉を言わせてしまった自分が悔しくて、膝の上に置かれた指先が震え出す。
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