薬指の約束は社内秘で
余裕げな優生の態度を見てたら、何だか急に力が抜けてしまう。
言い返す気力もなくため息をつくと、耳たぶにふわっと吐息を吹き付けられた。


「ひゃっ」

不意打ちのそれに色気のない声を上げたら、「声はダメなんだろ?」と楽しげにクスリと笑われる。

「でもっ、いまのは――」

絶対、わざとですよね!?


「そう。最後までしたくなる」

「えぇっ!」

いっ、いくらなんでもそれは!


「なんてな。さぁ、行くぞ」

優しいキスが髪に落ちると腰を屈めた彼の腕が膝の裏に回り、私の体を抱き上げる。
そのままお姫様抱っこで室内に足を踏み入れた。

さっき一人でいたこの部屋は、二人でいるだけで別世界のように感じて嬉しくなる。
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