薬指の約束は社内秘で
「愛の怒ってる声も……」

そこでまた軽く触れるキス。
頬に触れる低い声が、思わず泣きそうになるほどの優しい声を響かせる。


「甘えてる声も、泣きそうなほど寂しいくせに、我慢してる声も……」

そっと体を起こした彼の腕が私の背中に回る。
包み込むように抱きしめられてベッドから体を起こすと、思わず引き寄せられる優しい瞳が私だけを見つめた。


「俺には全部必要。一つでも欠けたら藤川 愛じゃなくなるからな。だから、これからもずっと……全部聞かせてもらう」

背中に回った手が外れ、少し照れたような笑顔で左手を優しく取られる。
薬指を滑らせていったひんやりとした感触に息を呑んだ。


「これで、足りないなんて言うなよ?」

左手薬指で輝くダイヤの指輪に呆然と優生を見上げると、彼は唇を引き上げる意地の悪い笑みを浮かべる。
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