薬指の約束は社内秘で
深く頷きながら問いかけると、心底呆れ返った顔をされた。

「まったく。これだからお気楽な性格だって言われるんだろ」

「そっ、そんなこと言うのは、葛城さんくらいですよっ」

いつもの調子に戻った彼に、いつもの調子で言い返す。

すると何か窺うように顔を覗き込まれて、「プレゼンでスライド使わなかったんだろ、なんで?」と至近距離からの真剣な瞳を向けられてドキッと心臓が跳ね上がる。

完全に自惚れですけどね。でも、もう少し意識してもいいんじゃないでしょうか?
だって、性格はとりあえずとして(そこは強調させてもらいます)

そんな綺麗な顔を近づけられたら、意味はなくてもドキドキしちゃうじゃないですか……

加速する鼓動を服の上から押さえつけ、プレゼンで起きた出来事を話し始めた。

「なるほどな、そういうことか。それで、結局デスクにUSBはあったのか?」

「いえ、それが失くしちゃったみたいで。本当ダメダメですよね。そそっかしいんですよ、私」

「それは顔を見れば分かるけど」
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