薬指の約束は社内秘で
不愛想な地蔵男の滅多に見せない自然な笑みに、淡いため息交じりの吐息が部屋全体を包み込んだ。

それは彼に憧れる女の子すべてが独り占めしたいと思っているもので。
男子全員がドン引きしているのを横目に見ながら、胸に針が刺さったような痛みを感じていた。


夕方4時からの再送別会は8時前にはお開きになった。

「明日は日曜だし。みんな泊まっていくといいよ」

松田課長は酔いつぶれた男子を介抱しながら仏様のような気遣いをみせる。
なんと、顔が利くという近くの旅館に全員分の宿を予約までしてくれていた。(これがみんなに慕われる理由だよねぇ)

そこの旅館の女将さんから「世間的には時期外れだけど今日は小さなお祭りがある」と話を聞いて、私を除く女子の酔いは一瞬で吹き飛んだ。

「えー。先輩は浴衣着ないんですか?」

「うん。だって面倒くさいし、食べにくい」

紫陽花柄の浴衣を美希ちゃんの胸に押し戻す。

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