薬指の約束は社内秘で
パーテーションの後ろから姿を見せたのは、170近い背の高さで艶のある黒髪ショートヘアーの女性だった。

柔らかい笑みを口元に浮かべこちらに歩み寄ってくるその顔は、初めて見るもの。

彼女が着ている淡いベージュ色のスーツは、彼女のスタイルの良さを惹き立たせセンスの良さを感じさせる

私より10センチは背が高いだろうと思うのに、羨むほど小さく整った顔は卵形の綺麗な輪郭を描いていた。

完璧なまでの美貌に視線を集まることも、きっと慣れてるんだろう。

彼女は男性社員の視線をまったく気にもかけない様子で私の前に歩み寄り、「はじめまして」と名刺を差し出した。

てっきり新車販売用のモデルさんかと思ったのに。見慣れたロゴが入った名刺は私が持っているものと同じで、

ドイツ支社 仙道 麗華 (センドウ レイカ)

名刺の中央にあるその名前も、初めて目にするものだった。もちろん彼女とも初対面だ。
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