薬指の約束は社内秘で
どこかの誰かのように地蔵化した私に、彼女は有無を言わせぬ笑顔を向けた。

「では、行きましょうか」

えっ、なにサラリと言っちゃってんですか!? いきなりの展開について行けてないですって!!

「あのっ、どうして私が? 経営統括室なんて無理です」

「あら、どうして?」

なんて、これまたサラリと不思議そうに返される。

体力には少―しだけ、自信はありますけどね。

きっとぎりぎりで内定を貰えただろう私が、社内の精鋭部隊が揃う異星人達と渡り合えるほどの頭脳なんて持ち合わせてない。

それにプライベートの悩みから単純ミスするような私が、あの部屋に相応しいとも思えない。

昨日ロビーで役員達と歩きながら話す葛城さんを見た。

彼は自分の父親くらい年が離れた役員達にも自分の意見をぶつけていた。

そんな彼の後ろ姿を思い出し、また胸がチクリと痛み始める。
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