On Your Marks…~君と共に~


2人っきりになった病室。


ふと、さっき喧嘩したことを思い出す。


少しだけ気まずくなる。




「……ジャックは今、スパイクを取りに行った。……あのな、澪……「ごめんなさい」



お父さんが謝る前にあたしが先に謝った。


お父さんの顔は見れなかった。


下を向いてしまうあたし。




「……俺も悪かったよ」



そう静かにいって、お父さんはそばにあった椅子に腰を下ろした。




そして、言葉を紡ぐように再びお父さんは口を開く。




「俺の言った言葉覚えてるか?選手だけが、陸上をやっている訳じゃないってやつ」




そういって、お父さんの瞳があたしを見てくるのが分かる。


分かってるんだけど、なんとなく顔をあげてお父さんのほうを見ることは出来なくて、ただ、首を縦に動かすことしかできなかった。




__『陸上ってな、走るだけじゃないんだぜ?選手だけが陸上をやってるわけじゃない』



確かに覚えてる。



覚えてるけど……意味が分からない。




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