On Your Marks…~君と共に~



「はぁ……。お前らには、想いやりというものがないんか、想いやりっていうもんがっ!」



「……」



1人怒り出した尾川。


皆は、またかって顔で、尾川を見る。



「なぁ…えぇ?お前らなぁ、ちょうど2年前の夏休み頃、当時のお前らと同じ年の中学生が2人溺れた事故覚えてるか?……覚えているもの!」



「……」



無反応なあたしたち。


だけど、ふと見たあたしの隣の席の勝木は1人下を向いてきゅっと唇をかみしめていた。


勝木も尾川のこと嫌いなのかな?


この時は、これくらいにしか思わなかった。



「ったく…2人が死んで1人が助かったんだよ。おかしいと思わないか?

なぜ1人だけ助かって2人が死んだのか。

なぜ1人は助けに行かなかったのか。

なぜ、お前だけ助かってるんだ。助けに行けばよかったんだ。

大げさに言うとお前らはそういうことを……」




__ガタンッ



あたしの隣の席の勝木がいきなり立ち上がって、何も言わず教室を颯爽と出て行った。



教室内が異様な空気に包まれた。


微かに見えた勝木の顔は見たこともないくらいに、怖い顔をしていた。


追いかけないとっ!


あたしの体は自然に動いた。



「あ、あたし追いかけます。連れ戻してくるんで、授業続行お願いします!」



あたしはそういって立ち上がり、勝木の後を追った。


< 47 / 362 >

この作品をシェア

pagetop