On Your Marks…~君と共に~
「はぁ……。お前らには、想いやりというものがないんか、想いやりっていうもんがっ!」
「……」
1人怒り出した尾川。
皆は、またかって顔で、尾川を見る。
「なぁ…えぇ?お前らなぁ、ちょうど2年前の夏休み頃、当時のお前らと同じ年の中学生が2人溺れた事故覚えてるか?……覚えているもの!」
「……」
無反応なあたしたち。
だけど、ふと見たあたしの隣の席の勝木は1人下を向いてきゅっと唇をかみしめていた。
勝木も尾川のこと嫌いなのかな?
この時は、これくらいにしか思わなかった。
「ったく…2人が死んで1人が助かったんだよ。おかしいと思わないか?
なぜ1人だけ助かって2人が死んだのか。
なぜ1人は助けに行かなかったのか。
なぜ、お前だけ助かってるんだ。助けに行けばよかったんだ。
大げさに言うとお前らはそういうことを……」
__ガタンッ
あたしの隣の席の勝木がいきなり立ち上がって、何も言わず教室を颯爽と出て行った。
教室内が異様な空気に包まれた。
微かに見えた勝木の顔は見たこともないくらいに、怖い顔をしていた。
追いかけないとっ!
あたしの体は自然に動いた。
「あ、あたし追いかけます。連れ戻してくるんで、授業続行お願いします!」
あたしはそういって立ち上がり、勝木の後を追った。