On Your Marks…~君と共に~


確かに俺は中学の頃いつも勝気だった。


人一倍負けず嫌いで、常に前を向いていた。


後ろを振り返るということを、あの頃の俺は知らなかった。



「俺らは自業自得で死んじまったんだ。お前はさ、俺らのことをもう気にする必要はないんだ」



拓夢の落ち着いた声が、俺の胸に素直に入ってくる。



「さっきの子……あんなに必死になって、お前のこと走らせようとしてたじゃねぇか。あの子さ……信じてみてもいいんじゃねぇか?」



啓太がいつもの調子に戻って、笑顔になる。


さっきの子…?


川口のことか…?



「あいつのこと、見てたのか?」



「ああ、見てた。俺たちはいつもお前のそばにいる。あの子と一緒に俺らもお前の追い風になる。


もう一度風になれ瞬っ!俺らの分も走れっ!



そしてな……楽しめ!」




俺はやっと顔をあげた。


そこには満面の笑みをした拓夢の顔がそこにはあった。



「俺らはこっちの世界でお前の活躍を見ている。お前は最強だ。それは俺らが一番よく知っている。本気を出したらもう、誰もが納得する走りをお前はするんだ。


大丈夫。


< 61 / 362 >

この作品をシェア

pagetop