LOVEPAIN③
「こんな俺でも、昔、一度だけ凄く好きになった女が居たんだよ。
広子が知りたいのは、その俺の大失恋の事?」
ナツキはそう鼻で笑っているけど、
その目が不安そうに揺れている
それを訊いて欲しくない、と
「――そうかもしれないです」
ナツキは諦めたように溜め息を付くと、口を開いた
「俺、産まれて高校出る迄田舎に住んでたんだよ。
田舎ってより、島。
小さな島で」
そう語り始めたナツキの言葉に、
私も成瀬もナツキの方に視線を向けた
もしかしたら、私が聞きたい事に、答えてくれているのかもしれない
「その島、小、中は有るけど、高校は本土にしかないから、毎日船で通って。
同級生も、7人しか居なくて。
7人でも、俺らの学年は多い方で。
ホント、ド田舎」
「意外です……。
ナツキさんって、誰よりも都会育ちって感じで……」
だけど、そう言えば、ナツキが前にそんな事を言っていたような気もした
“――俺も、昔住んでた所の近所にファストフード店なんかなくて――”
「俺、同じ年の幼馴染みの女が、物心付いた頃からずっと好きで。
中学入る頃には、俺から告白して、付き合い出して」
「ナツキさんがそんなに好きな人って……。
凄く美人なんですか?」
「ううん。普通。
でも、俺には最高に可愛く見えた」
ナツキは、その顔に感情を出さないように、淡々と話している
でも、その声で、ナツキがその女性をどれだけ好きだったのか分かる