ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
静かになったところで、部屋の中を見渡してみる。


本棚の上に、トロフィーがいくつも、隙間を埋め尽くすように並べられているのが見えて、思わずそこばかり凝視してしまう。





良く見れば本だと思っていた書物も、楽譜だった。





あぁ、そういえば涼依って...


そこまで思考が回ったとき、か細い鳴き声が聞こえて扉をみた。





郁「あ、ネコネコ~」





郁翔がとんとん、と床を指で叩くと、音もなく寄ってきて郁翔の手に頭を擦り付けた。





郁「こいつかわいーなー。...なんか甘い匂いがする」





抱き上げてお腹に顔を埋めた郁翔は、すぐに顔を離してまじまじとネコネコ(って呼ぶことにした)の目を覗き込んだ。





「猫の匂いとかじゃなくて?」



郁「違う。なんだろ...とにかく良い匂い」





ほら、と俺にネコネコをむけた郁翔。





円らな瞳に少し躊躇いを持ちながら、郁翔からネコネコを受け取り同じように顔を埋めてみる。





郁「甘い匂いするでしょ?」




「確かに」




郁「でしょでしょ」





何故か嬉しそうにはにかみながら郁翔は俺の手からネコネコを取り上げた。





郁「ご主人に香水でも付けられてんのか~?」




涼「...違うよ」




郁「!! りょ、涼依...」





お茶が入ったトレイを俺たちの目の前に置いた涼依は目を閉じて一息ついた。





涼「...テーブルある方がいい?」



「大丈夫だよ。...そこまで緊張しなくていいから」





強ばっている涼依の表情を読み取って言葉を付け加えると、遠慮気味に笑顔をみせた。





同級生なんだし、しかも同じ部活なんだから、もっと肩の力抜いたって良いのに。





まあ本人は幽霊部員であることを後ろめたく思ってるんだろうし、仕方ないのか。


...いや本当にそう思ってるかはわかんないけど。




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