ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
「最近コンクールあったの?」
同じようにしゃがみこんで自分らしくもなく地面に落書きをする。
下手くそな鍵盤の絵を描くと、見かねた涼依がスラスラとなれた様子で描いていく。しかもうまい。
恥ずかしくなって手のひらで一瞬で消し去る。
涼「今秋に向けて練習中」
「へぇぇ」
郁「じゃあこうやって外に出てる時間、惜しいんじゃねぇの?」
気づくと3人で円を描くように日影にしゃがんで子どもみたいに指で絵を描いて地面を飾っていく。
不安そうに問う郁翔に、涼依は小さく首を振って鍵盤の隣に音符を描いていた。
何かの楽譜をそのまま写譜するように、地面に音符の列が出来ていく。
涼「~♪~~♪」
呟くリズムは誰のなんという曲なのか全く知らなかったけど、耳に心地好い涼依の声はすんなりと心の奥底まで落ちる。
涼「...1位をとらないと、ダメなんだ」
「...」
涼「2位じゃ、失望される」
郁「誰に?」
涼「...その曲を、生み出した人」
なんか、深いなぁ...
俺の知らない世界で、知らない景色をみてきた涼依にしかわからない感情。
だから何も言えない。今ここで何か言うのは違う。
そういえば部活、...まあ、いいか。
出かけた言葉を誤魔化すように足場を正す。
その反動で上を少し見上げたら、涼依の後ろに誰かがいた。
ハッとしてもう一度見てみるとそこには怪しい笑みを浮かべた里苑がいて、涼依に何かしでかしてやろうと考えてるのが手に取るようにわかる。
そーっと涼依の脇腹に手を伸ばして一気にガツッと掴むと、涼依の体が大きく跳ねた。
その手を振りきるように体を捩る涼依は里苑の姿を認識すると、嫌悪に満ち溢れた顔をした。
里「そんなあからさまな態度とらないでよ、涼依」
涼「...久しぶり」
里「なんでだよ!前も家行っただろー?」
涼「んな訳ない」
里「酷い」
こうしてみてるとやっぱり一番の仲なんだなと嫌でも感じる。