ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
架「でも、涼依さんのダンスみて、初めて心が動いたんです。激しいのになんか、悲しくて、気づいたら泣いてました、私」
伝う涙を指で表現しながら顔をあげた。
当時の彼女を知らないのに何故か、指が涙に、笑った顔が情けないほど頼りない顔にみえて。
彼女のなかで俺は、輝いていたのかな。
架「あの昂りは、言い様がありません。涼依さんをみて感じたあれは、私の宝物です」
胸の前に手をやる彼女。
その胸の中にしまい込まれているのは、俺が彼女に与えた感動。
強制的に出された大会に出された俺と、無理矢理連れられてこられた彼女。
出会いというのは、そんなものなのだろうか。
大切な想いは、そんな風にして生まれるものなのか。
こうして再び顔を合わせたことは、運命というやつなのか―――
架「きっと2年前から私は、涼依さんの虜です」
「っ」
向けられる視線に、熱が上がる。
これは、一時的なやつだ。絶対。そうじゃないと困るんだ。
悠が言ってた“好き”は、戸惑ってしまうから。
虜になるのは俺じゃなくたって、悠か里苑、その他親しそうにしてた郁翔にでも向けたらいい。
架「涼依さん、ダンス部とか入ってますか?」
「...まあ、一応」
架「っ文化祭、出ますか...!?」
訴えるように、目力で“出ろ”と言うように、目を合わせて離さない。
彼女にとって俺は、俺のダンスはそんなに特別なことなのが不思議でたまらない。
不思議でたまらないと、心の底から思うのに、
「...出るよ」
彼女の笑顔の理由になればいいのにと、願いを抱いているから。
そんな自分の方がよほど不思議だ。
架「...、ありがとう、ございますっ」
泣きそうになってるのか言葉を詰まらせる彼女。
純粋に、自分のダンスを好いてくれている。
この子のために踊ろう―――
踊ることは好きだ。だけど理由がなかった。意味を成さなかった。
それに歓喜を、輝きを。